そんな疑問にお答えします。
当記事を読めば、クルマが冠水・水没してしまったときの対処方法が分かります。
ゲリラ豪雨や台風などの影響で、クルマが水に浸かってしまうことがあります。
クルマ水没するような状況に遭遇した場合、まずは身の安全を確保するのが最優先。
一度水に浸かってしまったクルマは、「冠水車」や「水没車」と呼ばれます。
こうしたクルマは、たとえ修理してもさまざまなトラブルが発生する可能性があるため、状態によっては売却したり処分するのがおすすめ。
今回は、もしもクルマが水没してしまった場合に注意すべきポイントについて詳しく解説します。
水没車とは
日本自動車査定協会は、中古自動車査定基準及び細則(Ⅰ)の中で、水没車に関する定義を定めています。
冠水車の定義
集中豪雨や洪水などにより、室内フロア以上に浸水したもの、または、その痕跡により商品価値の下落が見込まれるもの。
(1)通常の使用では発生しない箇所にさび・腐食がある。
- シートのスライドレール、スプリング、レールの取付けボルト
- ペダル類のブラケット、リターンスプリング
- ステアリングポスト付近
- センターコンソール取付けボルト
- ドアトリムボードの金属部分(確認には内張り取り外しが必要)
- シートベルト取付けボルト
- フロア(確認にはリヤシート取り外しが必要)
- ワイヤーハーネスのコネクタ
- シガーライター
(2)通常の使用では付着しない汚れ・シミがある。
- 粉末状の汚れ(ドロ水が乾いて粉末状になったもの)
- フロア、マット、シートレール、シート、ドア内、メーター類、ヒーターダクト、ワイヤ
- ハーネスのコネクタ、ヒューズボックス等
- 水位跡
- シートベルト、内張り、シート
(3)ドロ又はカビの臭い
- 室内
- エアコン作動時
室内フロアに浸水したもの又は、上記.(1)、(2)、(3)のうち、複数以上の痕跡が確認できるものは、冠水車として取り扱うことができる。
細かい基準が定められており、浸水の痕跡が認められるものは水没車として取り扱われます。
もしもクルマが水没してしまったら
基本的に、クルマは大雨などで路面に水溜りがある状況でも、問題なく走行できるように設計されています。
でも、一定の水位を超えた場所は走行することができず、エンジンなどが故障してしまう場合があるんです。
閉じ込められる前に、身の安全を確保
路面から20~30センチ以上水位のある場所を走行すると、車内に水が入ってくることがあります。
また、ゲリラ豪雨などが理由で水位が上昇し、停車中のクルマに浸水してくることもあります。
もしも車内に浸水してきた場合は、できるだけ早めに車クルマから離れる必要があります。
ただし、車内に浸水するほど水位のある場所では、路面の状況が正確に判断できないことが考えられます。
無理して車を走らせ、深みに入り込んでしまうようなことがあれば、水圧でドアを開けられなくなってしまうかもしれません。
車内に水が入ってきたら、まずは身の安全を確保するのを最優先に、できるだけ早くクルマから離れるのがおすすめです。
電装系トラブルを避けるために、必ずエンジンを停止する
車内に浸水してきたら、安全な場所にクルマを停めて、エンジンも必ず停止しておきます。
車内には、多くの配線が通っています。
さまざまな電子機器の制御盤は、フロアに取り付けられている場合も多いため、水に濡れることで誤作動が起きたりショートしてしまう可能性があります。
特に海水による浸水の場合、真水よりも電気を通しやすい性質を持っているため、電気系統のショートにより火災が発生する恐れが非常に高くなります。
もしもクルマを離れる前に、余裕があればバッテリーのマイナス側のターミナルを外しておきましょう。
発火のリスクを減らすことができます。
クルマに浸水した状態で無理に走行しようとすると、走行中に火災が発生してしまう可能性があり非常に危険です。
また、たとえ水が引いた後でも、すぐにエンジンをかけてはいけません。
感電するリスクだけでなく、エンジンが故障してしまう可能性もあります。
エンジンに影響を及ぼす水位を確認しておく
マフラーとエンジン排気ポートの限界水位とは
マフラーの排気口が全て水に浸かってしまうと、排気ができずにエンジンは停止してしまいます。
水位が下がれば、再びエンジンを動かすことは可能。
でも、エンジンの排気ポートまで水に浸かってしまった場合は、エンジンが破損してしまう可能性が高くなります。
このエンジンの排気ポートは、マフラーの排気口よりも高い位置にあります。
そのため、マフラーが水に浸かったとしても、エンジン内部まで水が流れ込むとは限りません。
でも、エンジンの排気ポートの位置まで水位がある場合は、マフラーを通じてエンジン内部まで水が流れ込む可能性があります。
エンジンのシリンダー内に水が入ると、空気とガソリンの混合気を圧縮させる際に、シリンダーやピストンに大きな負荷がかかり、シリンダーヘッドがゆがんだりコンロッドが破損してしまう場合があります。
こうした現象を「ウォーターハンマー」と呼びます。
ウォーターハンマーが起きると、シリンダの内壁が大きく傷ついてしまい、最悪の場合はエンジンに穴が空くこともあります。
水位が
- マフラーの排気口
- エンジンの排気ポート
のいずれかを超えた場合は、シリンダー内部に水が入り込んでしまった可能性があります。
エアクリーナーの限界水位とは
エアクリーナーとは、エンジンに吸入される空気中のゴミを取り除くフィルターのことです。
もしもエアクリーナーが水に浸かってしまうと、空気と一緒に水も吸い込んでしまい、エンジンのシリンダー内部まで浸水してしまいます。
シリンダー内に水が入ってしまうと、先ほどの「ウォーターハンマー」現象が起きる可能性が非常に高くなります。
そのため、水位がエアクリーナーの位置を超えたかどうか確認した上で、エンジンを掛けずにディーラーや修理工場い相談するのがおすすめです。
レッカー移動させる
クルマが水没して動かせなくなった場合、一旦その場に放置しておかなければなりません。
水が引いた後、水没したクルマを移動させることになります。
エンジンをかけて走行するのは、電気系統のショートにより火災が発生する恐れがあるため、大変危険です。
そのため、レッカー車を手配してレッカー移動する必要があります。
レッカー車の手配方法は
- JAFに依頼する
- ディーラーや整備工場に依頼する
- 任意保険に付帯しているレッカーサービスを利用する
- 廃車専門の買取業者へ依頼する
といった方法があります。
JAFに依頼する場合、JAF会員以外は15kmまでのレッカー移動で13000円以上料金がかかってしまいます。
任意保険に付帯しているレッカーサービスになると、保険会社によっては50km程度まで無料で運んでもらえる場合もあります。
注意したいのは、レッカー移動する場合は、移動先をどこに指定するかは自分で決めなければいけないということ。
自宅に運んでもらってもいいのですが、距離が遠かったり、自力で動かないクルマを置いておくのが困難な場所の場合は、最寄りのディーラーや整備工場に運ぶ方がいいかもしれません。
広範囲のエリアで水害が起きた際などは、ディーラーや整備工場に水没車が集中してしまい、受け入れられなかったり整備に時間がかかることがあります。
浸水の程度によっては、今後トラブルが頻発することも十分考えられますので、廃車することも検討しておくのがいいかもしれません。
廃車専門の買取業者に依頼すれば、廃車車両の査定をしてもらえるだけでなく、動かない車両を引き取りに来てくれるところもたくさんあります。
水没車を廃車にするつもりであれば、廃車専門買取業者に引き取ってもらうのがおすすめです。
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水没車に乗り続けるリスクとは
部品の劣化やサビ
海水に浸ってしまった場合、クルマは急激に劣化していきます。
金属の部品に塩分が付着すると、酸化が一気に進みます。
そのため、海水に水没した部分の部品は早急に交換する必要があります。
カビや異臭が取れない
車内のシートやフロアカーペットは、吸水性の良い素材でつくられています。
そのため、車内に浸水した泥水や海水が滲み込みやすく、一度付いた汚れや臭いはなかなか落ちません。
また、車内は密閉性に優れているため、通気性が悪くカビなどの雑菌が繁殖しやすい環境です。
そのため、水没車の車内はヘドロのような異臭が残り続ける場合があります。
修理代が高額になる
クルマの状態によって費用は異なりますが、概算として
軽度の浸水の場合 | 10万円~ |
シートまで浸水した場合 | 50万円~ |
エンジンやトランスミッション載せ替える必要がある場合 | 100万円~ |
といった費用が掛かる場合があります。
電気系統の部品交換や、トランスミッションの交換となると、かなり高額な修理費用が必要になる場合があります。
修理をしても故障が頻発する可能性がある
一度水没したクルマは、たとえ修理してもいつどのようなトラブルが起こるか分かりません。
場合によっては、電気系統がショートして発火することだって考えられます。
見えない部分に入り込んだ水や砂などが、さまざまなトラブルの原因となる可能性は高いでしょう。
さいごに
水没してしまったクルマは、修理費用が高額になったり、劣化が進んでしまうなど、乗り続けるにはさまざまなリスクがあります。
軽度の浸水であれば、パーツの交換やクリーニングすることで乗り続けられる場合もありますが、エンジンやトランスミッションなど、重要なパーツが水没した場合は注意が必要です。
基本的に、「エンジンが浸かってしまったクルマは、修理せずに廃車する」と考えておいた方がいいかもしれません。
高額な修理費用がかかったり、修理が難しい水没車は
- 下取りに出す
- 廃車専門買取業者に買取依頼する
といった方法で処分することができます。
下取りに出す場合、ディーラーや中古車販売店によっては応じてくれるかもしれませんが、水没車は下取り価格が付かない場合も多くあります。
価格が付かないだけでなく、廃車にするための手数料を取られる可能性もあります。
もしも下取りしてもらえなかったり、廃車手数料がかかってしまう場合は、廃車専門買取業者に依頼するのがおすすめ。
「これは買い取ってもらえないだろう」
というクルマでも、案外買い取ってもらえるものです。
高額な修理費を支払って乗り続けるよりも、廃車にした方が得な場合も多くあります。
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